4. ピュア・コミュテーター

4.1 ピュア・コミュテーター(pure commutator)とは

キューブにおけるコミュテーターとは、手順A(例:R U' R')と手順B(例:D)の二つと、
その逆手順(逆再生)を交互に行う手順です。
つまり、この例の場合は
手順A R U' R'
手順A' R U R' (手順Aの逆再生)
手順B D
手順B' D'(手順Bの逆再生)
をA→B→A'→B'の順に組み合わせて
R U' R' D R U R' D'
という手順です。
実際にこれをやってみると、コーナー三点のみが変化しているはずです。

ここで扱うピュア・コミュテーターは、このようにコーナー三点交換を行うための手順です。
これだけなら手順暗記でもできるのですが、
コミュテーター手順の強みは同様のことが様々な位置関係の三点交換に応用できることです。
以下、いろいろなピュア・コミュテーター手順を自分で見つけるための考え方を解説していきます。


4.2 ピュア・コミュテーターの原理

原理については理解する必要はないですが、コミュテーターは何をしているのか、なぜコミュテーター手順で
三点交換が成り立つのかを知っておくと探しやすくもなるでしょう。
最初のイメージとしては、二点交換を二つ組み合わせて三点交換を行っているように
捉えるのがいいかもしれません。
たとえば交換したいコーナーパーツ3つをア、イ、ウと呼ぶことにすると、
4.1で説明した手順A、Bは模式的に次のような手順と考えられます。
例:アをイの位置、イをウの位置、ウをアの位置に移動するとき
初期状態
 ウアイ
手順A
 アウイ
 ←→
手順B
 アイウ
  ←→
手順A'
 イアウ
 ←→
手順B'
 イウア
  ←→
つまり、4.1にあるR U' R' D R U R' D'の例だと、(scramble:D R U' R' D' R U R')
ア:FDR(F面とR面とD面に面しているコーナー)
イ:LDF
ウ:ULF
に相当し、
手順A :ウをアのある位置(FRD)に移動
手順B :ウのあるFDRにイを移動、代わりにウはRDBにどかされる
手順A':アがFDRに戻り、ウの代わりにイがUFLに移動
手順B':もともとイがあったLDFにアが移動、Bで移動させておいたウがFRDに戻る
ということになります。
commutator図1
ここで余計なところが崩れないのは、
・手順Aで移動する(FRD以外の)パーツは手順Bで移動しない
⇒手順A'で元に戻る
・手順Bで移動する(FRD以外の)パーツは手順Aで移動しない
⇒手順B'で元に戻る
という条件で手順A、Bを組み合わせているからです。
commutator図2
逆に言えば、この条件さえみたしていればコミュテーターによるコーナー三点交換が可能なわけです。
※この2つの条件は、片方が成り立てば両方とも成り立つので実際は片方だけチェックすればOKです。

ここで一つ重要な事実があります。
A→B→A'→B'の逆手順(逆再生)を考えてみてください。
ここで注意することは、A、B、A'、B'の並び順を逆にして、さらにAはA'に変化することです。
するとB→A→B'→A'という手順になります。
つまり手順Aと手順Bを入れ替えるとこれは逆手順に変化するということです。

では、次は具体的な手順の見つけ方を考えていきます。
キューブをよく研究している人なら、もう自分で手順を探し出すのは簡単かもしれません。
いろいろ試してみてください。


4.3 ピュア・コミュテーター手順の見つけ方

ピュア・コミュテーターの手順A、Bは
3手手順+1手手順(インターチェンジ)から成っています。
イメージとしては3手手順はLBL法のF2Lでスロットを入れる動作、
インターチェンジはD,D2,D'のいずれかと考えておくとよいでしょう。
(実際の向きは異なることが多いので持ち替えて考えましょう)

説明のため、三点交換を表す記号の表し方を導入します。
たとえばスクランブルR' D' L' U' L D L' U L R
commutator図3
の状況で行う三点交換は(UFR ULF LFD)というように書かれます。
ここで(UFR ULF LFD)は
「UFRパーツをULFに、ULFパーツをLDFに、LDFパーツをUFRに移動させ」、さらに
「UFRパーツのU面がU面に、R面がF面に、F面がL面に移動される(他2つも同様)」ことを意味します。
これはコーナーパーツの位置だけでなく向きも気をつけなければいけないことに注意しましょう。
(中学校で三角形の合同証明を書くときの頂点の対応に似ていますね。)
さて、これから手順を作っていきます。

4.3.1 インターチェンジの決定

まず、交換したい3つのコーナーパーツ(4.2でのア、イ、ウに相当)を確認しましょう。
この中で、パーツひとつを1手で目的地まで移動できるものを探してみてください。
(まったくない場合は前後にセットアップ手順を加える必要があり、
ピュア・コミュテーターは不可能です。また、逆に複数ある場合もあります)
たとえば(UFR ULF LDF)の場合を考えてみましょう。(scramble:R' D' L' U' L D L' U L R)
この場合、Uを回すことでUFRのパーツは三点交換の目的地であるULFへと移動できます。
commutator図4
このとき「UFRはUによってインターチェンジ可能(interchangable)」と呼ぶことにします。
また、このときのUのような手順をインターチェンジと呼びます。

このようにインターチェンジ可能なペアを探すわけですが、インターチェンジ可能というには条件があります。
それは、「インターチェンジによって"三点交換のもう一つのコーナーパーツ"が動いてしまわない」ことです。
なお、この"三点交換のもう一つのコーナーパーツ"をバッファと呼びます。
たとえば、上の(UFR ULF LDF)の場合を考えてみます。
するとF'によってULF→LDFと移動しますが、
このときバッファであるUFRも移動してしまっていて、(2)の2条件に反しています。
そのためRFDとUFRはインターチェンジ可能ではありません。

このインターチェンジ手順は手順Aまたは手順B’の位置に入ります。
AとB’のどちらに入るかは3手手順を考えないと決定できません。

4.3.2 3手手順の決定

インターチェンジが複数見つかった場合は、そのどちらかを選びます。
インターチェンジが決まったら、3手手順の決定です。

ステップ1と同じ(UFR ULF LDF)の例で考えます。
この場合インターチェンジはU:UFR→ULFだけでした。
バッファであるLDFを、UFRまたはULFに3手で入れる手順を探してください。(必ずあるとは限りません)
このとき、インターチェンジで動くU面にある他の8パーツ(コーナー3個、エッジ4個、センター1個)が
すべて移動しないようなものを探してください。(3手の途中では動きますが、3手の後で元に戻るようにします(図5))
インターチェンジで動かす面がD面になるように持ちかえ、F2Lでスロットに入れる操作と思うと考えやすいかもしれません。
commutator図5

向きにも気をつけましょう。この例なら3手でLDFのL面がUFRのU面かULFのU面に移らなければいけません。
3手手順の1手目を回した段階でバッファともう一つがインターチェンジ可能な位置関係になっていればOKです。

解1 R' D R : LDF→UFR
このときこの3手手順R' D RはA、インターチェンジのUはB'となり完成したコミュテーター手順は
R' D R U' R' D' R U となります。

解2 L D L' : LDF→ULF
このときこの3手手順L D L'はB、インターチェンジのUはAとなり、完成したコミュテーター手順は
U L D L' U' L D' L' となります。

ここでは手順AとBを組み合わせてしまいましたが、実際どの順で組み合わせればよいのか
(インターチェンジが手順Aと手順B’のどちらになるのか)の判断基準を次に解説します。

4.3.3 インターチェンジと3手手順の組み合わせ方

さて、4.3.1と4.3.2で見つけた手順を組み合わせてピュアコミュテーター手順を完成させます。
判断基準を一言で表すと
「バッファをまず3手手順で目的地まで移動させる」です。
先ほどの例でまた考えましょう。

解1ではLDFがその目的地UFRに3手手順で移動するので、これを最初に実行します。
つまり R' D R が手順Aになり、インターチェンジは手順B’となります。

一方解2ではLDFが3手手順でULFに移動しますが、これはLDFの目的地ではありません。
このときは、手順AとしてインターチェンジUを回してしまいます。
するとLDFの目的地であるUFRが一時的にULFに移動してくるとみなすことができ、3手手順L D L'で
LDFは目的地に移ります。

慣れないうちは3手手順とインターチェンジをどの順で実行するのかわかりにくいですが、
何度もじっくり考えて実行するうちに慣れてきて素早く、ミスなく判断できるようになるはずです。
commutator図6

これでピュア・コミュテーター手順が2つ完成しました。
どちらを使っても起こることは同じなので、FMCなどではキャンセルが多いものを選べばいいでしょう。


4.4 練習問題

さて、同様に次の三点交換についてピュア・コミュテーター手順を(できるだけ多く)作ってみましょう。
Q1 (UFR ULF BRD) scramble:D2 L' F R F' L F R' F' D2
Q2 (UFR DFL URB) scramble:D' R' F' R B2 R' F R B2 D
Q3 (UFR UBL RBD) scramble:B U' R D' R' U R D R' B'
commutator図7

解答

Q1

Q2

Q3


文責:田中